メニュー

女性泌尿器科のお話②~尿もれ治療は美容につながる?

[2022.03.13]

皆様、こんにちは。

みうら泌尿器科クリニック院長の三浦徹也です。

この度は当院ホームページをご覧いただきありがとうございます。

このコラムでは、皆様に有益となるような病気の情報を中心に、あまり知られていない医療の裏側など、皆様の興味が湧くような内容を書いていこうと思います。

さて、今回のコラムでは、女性泌尿器科第二弾として骨盤底筋体操・トレーニングについて語ります。

 

『365億円』

皆さん、これ何の数字と思われますか?

実は、尿もれシート、ライナー、パッドなどの女性用尿もれケア製品の年間売り上げ市場の数字です。ドラッグストアーに行けば尿もれケア製品のコーナーがあるほど、沢山の種類の製品が販売されています。しかし、この数字の裏を返せば、かなりの女性が尿もれに悩んでおられることとなります。

尿もれ(尿失禁)は男性に比較して女性で明らかに多いことがわかっています。2003年の日本排尿機能学会での40才以上の男女約1万人を対象にした郵送によるアンケート調査の結果では、40歳以上の尿失禁の頻度:女性 43.9%>男性17.6% 医療機関受診率:男性27.4%>女性9.0%となっています。40歳以上の女性の半数程度は、尿もれを自覚しているのに、医療機関にはほとんど受診していないことが分かります。これは、恥ずかしさから医療機関を受診しにくいという側面ももちろんあるでしょうが、尿もれシートをしていれば特に気にならないからわざわざ病院に行くこともないと思っている女性が多くいるのも一因ではないでしょうか。男性と違い、女性は生理現象の際に生理用ナプキンなどの生理用品を使用しますので、ナプキンやシートの使用に抵抗感がない女性が多いと考えられます。しかし、生理現象は一定の期間のみで終わりますが、尿もれは毎日いつ起こるか分からないので、外出中はいつも尿もれシートを使用しなければならない女性も多くいると思います。最近の製品は肌への負担も少なく、非常に使用感も良いのでついつい予防的に使用している女性も多いでしょう。しかし、これは衛生的には良くなく、膀胱炎などの感染症の原因となってしまうこともあります。ですから、尿もれの自覚がある女性はやはり対策をすることが必要です。対策をしなければ加齢とともに尿もれは増悪します。

さて、それでは対策として何をやるべきかといえば、「骨盤底筋体操・トレーニング」、これにつきます。しかし、この骨盤底筋体操ですがなかなか曲者で、パンフレット等を見て自分でやって正確にできる人はほとんどいないのが現状で、結局効果がみられないため、すぐに止めてしまうことにつながってしまいます。骨盤底筋はインナーマッスルであり、いわゆる腹筋や上腕二頭筋などのアウターマッスルと違い意識することが難しい筋肉なので、自分で正確にトレーニングをすることが難しいんです。ですから、最初は教室などでインストラクターにコツを教えてもらうことをお勧めします。

当院では、ピラティスを用いた骨盤底筋トレーニングを指導しています。骨盤底筋を鍛えるために最も大事なことは、「正しい姿勢」を覚えることと考えています。女性は妊娠などの影響で反り腰になっていることが多く、そのような方の骨盤は後屈しています。そのため、骨盤内の臓器はどんどん下降していき、それを支える骨盤底筋に負荷がかかってしまい、尿もれの原因になります。また、その対策をせず放置すると膀胱や子宮が外陰部から体外に脱出する膀胱脱や子宮脱の原因となります。そして、いわゆる「ぽっこりお腹」も同様の現象で引き起こされます。これらは「正しい姿勢」を覚えて姿勢を常に意識することだけでもかなり改善することが期待できます。骨盤底筋に常に負荷がかかっている悪い姿勢で、いくら骨盤底筋トレーニングを行っても正確に骨盤底筋を鍛えることは不可能だと思います。ですから、当院ではピラティスを用いて「正しい姿勢」を作り正しい呼吸を行いトレーニングをすることをまず第一に行っています。

ピラティスはもともと「リハビリ」から発展したトレーニングであり、姿勢が正されインナーマッスルを鍛えるには最も適したものであると確信しています。開院当初から尿もれに悩んでいる女性のための骨盤底筋トレーニングにこのピラティスを用いて楽しく尿もれ治療ができるようにと、ピラティスインストラクターとともにメニューを考え取り組んできました。開院して10か月が経とうとしていますが、20代から80代までの幅広い年齢層の女性の方にトレーニングを受けていただき、外来に来られたときに感想を聞いていると、よく次のような会話になります。

「ピラティス頑張って続けられていますね。尿もれはどうですか?」

「先生、聞いてください!!   姿勢意識してたら、お腹がへっこんでズボンがブカブカになったんです!」

「・・・・・・・」(えっ、尿もれはどこいったの??)

やっぱり、女性は美容が一番なんだなーとつくづく感じる次第です。

みうら泌尿器科クリニック

三浦徹也

→当院の女性泌尿器科への取り組みについてはこちらのページをどうぞ

→骨盤底筋ピラティスの詳細はこちらのページをどうぞ

→女性の尿もれについての詳しい解説はこちらのページをどうぞ

 

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME