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尿、おしっこをするときに痛い(排尿時痛)~男性編

→女性の排尿時痛に関してはこちら

男性が尿、おしっこをするときに痛みを感じたときに考えられる疾患について説明します。

考えられる疾患としては、尿道炎、急性前立腺炎、尿路結石症、慢性前立腺炎、前立腺肥大症、膀胱がん、などが挙げられます。

以下にぞれぞれの疾患の簡単な説明を加えます。

男性の排尿時痛で考えられる疾患(多い順に列挙しています)

疾患名をクリックしていただくと、それぞれの疾患の詳しい説明のページに移動しますのでご参照ください。

①尿道炎(淋菌、クラミジア、マイコプラズマなど)

最も多いのが急性尿道炎です。尿道に細菌が感染し痛みを伴います。尿道に感染する細菌は、いわゆる性病、性感染症の原因となる細菌です。膀胱炎や腎盂腎炎など尿路感染症の原因となる大腸菌などの腸内細菌は尿道に住み着くことはできず感染することはありません。ですから、男性の尿道炎=性感染症ということになります。男性の尿道炎の原因となる細菌は、多い順にクラミジア、淋菌、マイコプラズマ・ジェニタリウム、ウレアプラズマ、インフルエンザ菌、ウイルス(アデノウイルス)等です。性感染症のriskとなるような性行為を行った後に痛みを感じましたら、尿道炎の可能性が高いですので泌尿器科を受診しましょう。

尿道炎の際の排尿時痛の部位は陰茎先端や陰茎部が多いです。一方、後述する前立腺炎では陰茎根部や会陰部(肛門と陰嚢の間の奥の部分)に痛みを感じることが多いです。

淋菌、クラミジア、マイコプラズマ・ジェニタリウムは、保険適用で検査可能です。淋菌感染は、泌尿器科専門医による尿検査(尿沈渣法)と尿道からの膿の性状でわかることが多いです。

淋菌性尿道炎:

黄白色の膿が尿道から排出し、パンツにしみがつくこともしばしばあります。排尿時の痛みも強いことが多いです。

クラミジア尿道炎、マイコプラズマ尿道炎などの非淋菌性尿道炎:

膿は出ないこともあり、出た場合も透明なきれいな膿のことが多いです。排尿時の痛みも通常は軽度であり、痛みをほとんど伴わず違和感程度のこともしばしばあります。

尿道炎の治療の流れ

まずは、泌尿器科専門医を受診し、尿検査(尿沈渣法)にて尿中に白血球がでているかどうかを確認し、尿道炎の診断をすることから始まります。

尿道炎と診断すれば、適切な抗菌薬の投与を行います。初診時に淋菌感染を疑えば、点滴治療(セフトリアキソン単回点滴)を行い、クラミジアやマイコプラズマ感染を疑えば、内服による抗菌薬(ドキシサイクリン 7日間)の投与を行います。(以前多用されていたアジスロマイシン 1回投与は、淋菌やマイコプラズマへの耐性化が進んだ(効果が急速に減弱)ため、現在は第一選択では使用していません。)

治療と同時に採取した尿からPCR法による細菌の同定検査も行います。保険診療で検査可能な菌は淋菌、クラミジア、およびマイコプラズマ・ジェニタリウムです。本邦でも最近マイコプラズマ・ジェニタリウムの検出検査が保険適用となりました。ただ、現在は淋菌、クラミジア、マイコプラズマ・ジェニタリウムを初診時にすべて同時に検査することは保険上認められていません。マイコプラズマ・ジェニタリウムとクラミジアとの同時検査は認められていますので、淋菌感染が否定的な患者さんや、淋菌、クラミジアの治療をしても症状が改善されない患者さんにはマイコプラズマ・ジェニタリウムを保険適用で検査ができるようになりました。

ただ、性感染症において検査はあくまで補助的なものです。すべての尿道炎の原因菌を検査できるわけではありません。検査よりも適切な抗菌薬による治療が重要です!! 排尿時に痛みが伴っている場合は、当然、保険適用で検査・治療を行うことができますので、保険診療が可能な泌尿器科専門医を受診しましょう!!!

MEMO

*最近、ネットやSNSの普及に伴い、梅毒の急増が社会問題となったり性感染症に関しての話題がトレンド化することも増えました。これに乗じて自費診療のみを扱う性病クリニックや性病検査のみ行うインターネットによる検査キットの販売業者が急増しています。無症状の場合はこれらの業者を利用するのも許容できますが、症状がある場合は、このような業者を利用し検査のみ行って自己判断するのはお勧めしません。特に男性では尿道炎の原因菌は淋菌、クラミジアだけではありません。マイコプラズマ感染の増加や女性の咽頭に常在しているインフルエンザ菌による尿道炎など検査できない尿道炎もたくさんあります。また、特に男性ではクラミジアは感染していても検査で陰性になることもあり、痛みの症状があるのに自己検査で淋菌・クラミジアが陰性だからといって放置しておくのは危険です。痛みがある場合は、必ず泌尿器科専門医を受診し、診断および必要であれば適切な抗菌薬による治療をうけましょう!!

→淋菌、クラミジア、マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染についてはこちら

→性感染症の診断・治療の一般的な説明はこちら

 

 

急性前立腺炎

排尿時痛とともに強い頻尿、発熱を伴うことが多いです。原因菌の多くは大腸菌です。重症例では入院が必要となりますので、発熱を伴った排尿時の痛みがある場合は泌尿器科をすぐに受診しましょう。→詳細はこちら

尿路結石症

尿路結石の中でも特に膀胱結石では排尿時の痛みを伴うことが多いです。また腎臓でできた結石は小さいものでは最終的に尿として排出されますが、排出する際に最後尿道を通りますので、その際に排尿時に痛みを伴うことがあります。→詳細はこちら

慢性前立腺炎

最近、若年者にも増加傾向の疾患です。慢性前立腺炎は排尿に関係なく、陰茎やペニスの先端などに違和感や痛みがあることが多いですが、排尿時にさらに増強することもあります。→詳細はこちら

前立腺肥大症

50歳を超えた男性では必ず念頭に置いておかなければならない疾患です。排尿時の痛みは前立腺肥大症に典型的な症状ではありませんが、重症例では、膀胱結石を形成し排尿時の痛みを伴うことがあったり、残尿が多いため尿路感染を発症し排尿時に痛みを伴うことがあります。→詳細はこちら

膀胱がん

膀胱がんが排尿時の痛みで見つかるケースもあります。進行がんに多い症状です。→詳細はこちら

 

文責 みうら泌尿器科クリニック院長 

三浦徹也(日本泌尿器科学会専門医、性感染症学会認定医)

 

 

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