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健康診断で尿検査異常を指摘

健康診断で尿検査異常を指摘されて泌尿器科に受診される患者さんは多くいます。尿検査異常では、「尿潜血陽性」と「尿タンパク陽性」がありますが、泌尿器科に関連する尿検査異常は「尿潜血陽性」です。まず、尿潜血について詳しく解説していきます。

肉眼的血尿(目に見える赤い尿)がでた場合については以下のページをご参照ください。

肉眼的血尿(男性編)

肉眼的血尿(女性編)

健康診断で尿潜血陽性といわれたらどうしたらいいの?

その答えは、「まず泌尿器科を受診してください」です。よく内科を受診される患者さんもおられますが、内科では尿沈渣などの詳しい検査ができるクリニックは少ないです。結局、泌尿器科に紹介されることになりますので、尿潜血陽性=泌尿器科です。なぜ、内科より泌尿器科かといえば、尿潜血陽性になる原因疾患のほとんどが泌尿器科疾患だからです。

目に見える赤い尿(肉眼的血尿)がでたら、ほとんどの人は泌尿器科を受診されるでしょう。一方、尿潜血陽性といわれた人は、「尿潜血1+といわれたが、1+だからいいだろう」と思い、医療機関を受診しないことの方が多いでしょう。健診受診者に認められた尿潜血1+以上の頻度(18~80歳以上 107,192人)は男性:3.5% 女性:12.3% と言われており、特に女性では頻度の多い検査異常です。確かに、これらの人すべてに何か大きな病気がみつかるわけではなく、尿潜血1+で何か大きな病気が見つかるケースは少ないです。しかし、尿潜血陽性で泌尿器科に来られ、検査をすると初期の膀胱がんや尿管がん、腎がんなどが見つかるケースも今まで多く経験してきました。健康診断は病気を早期に発見することが目的です。ですから、「まあ、大丈夫だろう」では健康診断を受けた意味がなくなります。尿潜血陽性であれば、1+、 2+、 3+に限らず、まずは泌尿器科を受診しましょう。

尿潜血陽性の場合に行う検査

尿潜血陽性の際にまず行う検査は、尿沈渣です。尿沈渣とは、尿をとっていただき、その尿を遠心分離機で分離し沈殿物を顕微鏡でみる検査です。泌尿器科ではその場で行うことが可能です。尿潜血反応には擬陽性もありますので、尿沈渣にて赤血球が本当に尿中に出てきているかを調べます。尿沈渣で赤血球がでていれば、血尿と確定します血尿と確定すれば、その尿を尿細胞診という尿の中にがん細胞がいないかどうかを調べる検査に提出します。また、採血検査も行います。

尿沈渣で血尿と確定すれば、次に行う検査は腎臓、膀胱、前立腺の超音波検査です。この検査で結石や悪性腫瘍が見つかる場合があります。結石が見つかれば腹部レントゲン写真を追加で行います。悪性腫瘍の疑いがあれば、CT検査を行います。

超音波検査でも何も異常がない場合は、膀胱内視鏡検査を行います。これが尿道から内視鏡ファイバーを挿入し、膀胱や前立腺を実際に見て、悪性腫瘍がないかなどを検査します。いわば、胃カメラや大腸カメラと同様の検査です。女性ではほぼ痛みなく検査が可能ですが、男性はペニスがあり尿道が長いため女性より痛みを伴います。当院では、できる限り痛みを少なくして検査が行えるよう、オリンパス社製の最新の膀胱内視鏡システムを導入しています。→膀胱内視鏡システムに関してはこちら

尿潜血陽性の際の検査の手順

①まず、尿沈渣→尿中赤血球ありの場合以下の検査を追加

②採血(男性であれば前立腺腫瘍マーカーPSAも)、尿細胞診、男性であれば直腸診

③超音波検査

超音波検査で何か異常が見つかれば、腹部レントゲンCTを追加

超音波検査で異常がなければ以下の検査を追加

④膀胱内視鏡検

これらの検査で異常がなければ、3-6か月毎に尿沈渣を行い、経過観察をします。

尿潜血陽性の原因となる疾患

疾患の詳しい説明は疾患名をクリックしてください。

①尿路結石

②膀胱炎

③前立腺肥大症

④尿路悪性腫瘍(膀胱がん腎がん腎盂尿管がん前立腺がん

⑤糸球体腎炎などの内科的疾患(多くは尿タンパクも同時に陽性)

尿タンパク陽性

尿潜血陽性の次によくある尿検査異常は尿タンパク陽性です。これは、ほとんどが内科的疾患で起こります。血液をろ過する腎臓の中身自体に問題がある際に起こります。以下のような原因が考えられます。

1. 生活習慣病が原因:糖尿病、高血圧、肥満など

2.免疫や遺伝の病気が原因:IgA腎症(慢性糸球体腎炎)、ネフローゼ症候群、血管炎など

3.その他:起立性タンパク尿(腎臓に異常なし)

尿タンパク陽性の場合は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が見つかることが多くあります。まずは採血検査と血圧測定を行い、全身のスクリーニング検査を行います。また、腎の形態異常がないかを調べるために、超音波検査も行います。

尿タンパク特に2+、3+の場合は放置しておくと、腎不全が進行し、透析に至る可能性もありますので、特に2+、3+の場合は医療機関を受診することをお勧めします。高血圧がみつかれば早めに降圧剤を内服し、腎臓を保護することが大切です。当院では、専門的な治療が必要と判断した場合は連携している内科専門医をご紹介させていただきます。

文責 みうら泌尿器科クリニック院長 三浦徹也(日本泌尿器科学会専門医)

 

 

 

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