性病検査・治療の費用
目次
性感染症全般の治療の流れについてはこちら↓をご参照ください。
→STD(性病)のお悩みページ~性感染症学会認定医が解説します
性病の検査や治療の費用はどれくらいかかるの???保険診療と自費診療の費用の違いについて
保険診療と自費診療で費用は大きく変わります。治療まで行うと保険診療の方が極めて安価(疾患にもよりますが、自費診療の約1/4から1/5程度の価格になります)です。症状がある場合やパートナーが性病にかかった場合(症状がなくても)は保険診療で性病の検査・治療ができます。最近はマイコプラズマ・ジェニタリウム感染の増加や各種菌の薬剤耐性化(薬が効きにくい)もあり、1回の治療薬で治癒しないことも多くあります。そのような場合は自費診療ではさらに費用がかさんできますので、症状がある場合は保険診療をお勧めします。
例)保険診療と自費診療の費用の違い:尿道炎の場合(初回の検査・治療の費用 保険診療3割負担の)
①(淋菌・クラミジア尿PCR検査+ビブラマイシン or アジスロマイシン処方の場合)
保険診療;計3500円前後(クリニック 2800円前後 薬局(薬代) 700円前後)
自費診療:12000円~20000円程度(クリニックによって値段が大きく変わります)
②(クラミジア・マイコプラズマ尿PCR検査+ビブラマイシン or アジスロマイシン処方の場合)
保険診療;計4400円前後(クリニック 3700円前後 薬局(薬代) 700円前後)
自費診療:18000円~26000円程度(クリニックによって値段が大きく変わります)
まとめ
性感染症の「治療」は保険診療で行うことをお勧めします。自費検査で陽性が出た場合も、保険診療で治療することができます。
保険診療で行う例;症状があって治療が必要な場合、パートナーが性感染症にかかった場合、自費検査で陽性が出た場合の治療
自費診療になる例;検査だけしたい場合、性風俗従事者の定期検査、ブライダルチェック、症状はあるがどうしても健康保険を使用したくない場合の検査・治療
*症状があってもどうしても健康保険を使用したくない患者さんには、当院でも自費診療で対応させていただきます。(web問診上の「保険を使用しない」欄にチェックをいれていただくか診察時におっしゃってください)
*症状がなく、性病検査のみを希望される場合は自費検査になります。(保険は使用できません。)
*性病の治療において自費診療のみで行うクリニックが最近増加しています。このようなクリニックでは症状があってもそもそも保険診療ができませんので事前にHP等で確認してから受診されることをお勧めします。
保険診療とその費用について
性感染症は症状がある場合や症状がなくてもパートナーが性病にかかった場合は、保険診療で検査・治療ができます。男子尿道炎の場合、医師が症状や尿検査で尿道炎と診断すれば保険診療で検査・治療を行います。ですから、保険診療の場合は検査と治療(抗菌薬処方)を同一日に行い、1-2週間後に必ず来院の上、検査結果説明および治療効果の判断を行います。改善がなければ違う抗菌薬を処方したり、改善があれば治癒確認の検査を行います。普通の病気と全く同じと捉えてもらえればわかりやすいです。
*尿道炎は淋菌、クラミジア、マイコプラズマだけでなく、インフルエンザ菌、ウレアプラズマ、アデノウイルス等検査できない菌が原因で起こることも多くあります。ですから、排尿時の痛みなどの尿道炎症状がある患者さんは、必要な検査に加え抗菌薬による治療が必要です。検査のみを保険診療ですることはありません。
*梅毒を疑う症状がある場合は検査のみを保険診療ですることも可能です。明らかな梅毒の症状であれば検査と同時に治療を行うこともしばしばあります。
*パートナーが淋菌やクラミジア、マイコプラズマにかかった場合は、症状がなくても検査と同時に抗菌薬による治療を保険診療にて行うことをお勧めします。
保険診療時の初診時の費用
性感染症の種類により異なりますが、診察費・検査費・治療費(処方箋代)を含め、3割負担の患者さんで、初診時の自己負担金(窓口支払金)は2000-5000円程度です。
当院の自費性病検査の費用
保険診療の費用は当然全国統一ですが、自費診療の検査費用はクリニックによって異なります。当院ではできる限り安価な価格で提供するよう努めていますが、他クリニックと比較して検討いただければと思います。当院での自費検査はすべて保険診療の検査と同一の検査機関で行っており、保険診療の検査ができる登録試験所で実施していますので検査精度は保険診療と変わりません。
*即日結果がでる簡易性病検査を実施している自費クリニックもありますが、検査精度が落ちるためそのような即日簡易検査は当院では実施していません。
性病検査の自費診療は以下に該当する方に行います。 (web問診で事前に自費診療希望にチェックいただくか、受付もしくは診察時に自費診療希望の旨をお伝えください) ・症状はないが全般的に性病のチェックをしたい方 ・健康保険を使いたくない方(自費であればご自宅や勤務先に医療費通知書が届くことはありません。ただ、検査の内容までは通知書に記載されることはありません。) ・結婚前のブライダルチェックをしたい方 ・性風俗従事者の定期検査 当院では、提携クレジットカードによるお支払いが可能です。 |
診察費として1000円(税込み)がかかります。
自費診療の患者さんの検査結果は、電話による結果報告が可能です。(結果は1-2日後です。マイコプラズマ・ジェニタリウムは5日後、ウレアプラズマは7日後です。)検査結果用紙が必要な方は直接ご来院ください。(検査結果説明のみの場合、診察費用はかかりません)
検査の結果、陽性であれば保険診療による治療が可能ですので必ず治療を行ってください。(自費での治療をご希望の場合は、検査結果説明時にお伝えください)
以下、当院の自費診療時の検査費用を示します。(保険診療時は異なります)
当院の自費診療時の性病検査費用
性器検査(男性は尿検査、女性は子宮頚管擦過検査) |
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淋菌 | 2500円(税込) |
クラミジア | 2500円(税込) |
淋菌+クラミジア | 3500円(税込) |
マイコプラズマ・ジェニタリウム*最近増加傾向の注意すべき感染症です。保険適用にもなり淋菌・クラミジアと合わせて3大性感染症の一つとなっています。→マイコプラズマ・ジェニタリウム感染症の詳細はこちら |
4500円(税込) |
淋菌+クラミジア+マイコプラズマ・ジェニタリウム | 7000円(税込) |
ウレアプラズマ+マイコプラズマ同時検査 | 7000円(税込) |
咽頭検査(咽頭うがい液検査) |
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淋菌 | 2500円(税込) |
クラミジア | 2500円(税込) |
淋菌+クラミジア | 3500円(税込) |
血液検査 |
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梅毒 | 2500円(税込) |
HIV | 2500円(税込) |
B型肝炎 | 2500円(税込) |
C型肝炎 | 2500円(税込) |
各種セット検査 |
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性器+咽頭うがい液検査セット *咽頭検査につきましては、検査前2時間は、食事・うがい・歯みがき・ガムをかむ事を避けて下さい。(飲み物は構いません。) |
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淋菌 | 4000円(税込) |
クラミジア | 4000円(税込) |
淋菌+クラミジア | 5000円(税込) |
淋菌+クラミジア+マイコプラズマ・ジェニタリウム(マイコプラズマは尿もしくは子宮頚管擦過検査のみです。咽頭検査はありません。) | 9000円(税込) |
スタンダード性病セットA (淋クラ1ヶ所、梅毒、HIV、肝炎) |
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淋菌+クラミジア同時検査(尿or子宮頚管or咽頭うがい液)、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、HIV | 12000円(税込) |
スタンダード性病セットB (淋クラ2ヶ所、梅毒、HIV、肝炎) |
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淋菌+クラミジア同時検査(尿or子宮頚管+咽頭うがい液)、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、HIV | 14000円(税込) |
スタンダード性病セットC (淋クラ1ヶ所、マイコ、梅毒、HIV、肝炎) |
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淋菌+クラミジア同時検査(尿or子宮頚管or咽頭うがい液)、マイコプラズマ・ジェニタリウム(尿or子宮頚管)梅毒、B型肝炎、C型肝炎、HIV | 16000円(税込) |
スタンダード性病セットD (淋クラ2ヶ所、マイコ、梅毒、HIV、肝炎) |
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淋菌+クラミジア同時検査(尿or子宮頚管+咽頭うがい液)、マイコプラズマ・ジェニタリウム(尿or子宮頚管)、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、HIV | 18000円(税込) |
オール性病セットA (淋クラ1ヶ所、マイコ、ウレア、梅毒、HIV、肝炎) |
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淋菌+クラミジア同時検査(尿or子宮頚管or咽頭うがい液)、マイコプラズマ+ウレアプラズマ(尿or子宮頚管)、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、HIV | 18000円(税込) |
オール性病セットB (淋クラ2ヶ所、マイコ、ウレア、梅毒、HIV、肝炎) |
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淋菌+クラミジア同時検査(尿or子宮頚管+咽頭うがい液)、マイコプラズマ+ウレアプラズマ(尿or子宮頚管)、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、HIV | 20000円(税込) |
オール性病セットC (淋クラ2ヶ所、マイコ、ウレア、トリコ、梅毒、HIV、肝炎) ~コンプリート性病セット |
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淋菌+クラミジア同時検査(尿or子宮頚管+咽頭うがい液)、マイコプラズマ+ウレアプラズマ(尿or子宮頚管)、トリコモナス、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、HIV | 24000円(税込) |
簡易性病セットA (淋クラ1ヶ所、梅毒) |
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淋菌+クラミジア同時検査(尿 or 子宮頚管or咽頭うがい液)、梅毒 | 5000円(税込) |
簡易性病セットB (淋クラ2ヶ所、梅毒) |
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淋菌+クラミジア同時検査(尿 or 子宮頚管+咽頭うがい液)、梅毒 | 7000円(税込) |
簡易性病セットC (淋クラ1ヶ所、マイコ、梅毒) |
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淋菌+クラミジア同時検査(尿 or 子宮頚管or咽頭うがい液)、マイコプラズマ・ジェニタリウム(尿or子宮頚管)、梅毒 | 9000円(税込) |
簡易性病セットD (淋クラ2ヶ所、マイコ、梅毒) |
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淋菌+クラミジア同時検査(尿 or 子宮頚管+咽頭うがい液)、マイコプラズマ・ジェニタリウム(尿or子宮頚管)、梅毒 | 11000円(税込) |
*女性の膣カンジタ検査;
女性の膣カンジタは性病ではありません。体調を崩したり免疫が落ちた時になる疾患です。婦人科を受診いただきますと保険診療で検査ができますので、膣カンジタ症は婦人科を受診ください。当院では検査は施行していません。
*男性用ブライダルチェック:上記性病セット検査に下記検査を追加できます。
精液検査 3000円(税込み)後日再度受診が必要です。
男性ホルモン採血 3000円(税込み)
自費で検査を受けたいですが、どの検査を受けたらよいでしょうか?
まず、はじめに注意事項として性感染症のチェックの意味合いでは上記に示した検査以外はうける必要はありません。下記に性病検査でよく見かける要らない検査を列記します。
〇男性の尿カンジタ検査;多くみかける検査ですが、尿にカンジタが生えても健常者では病的意義がありません。無駄な検査です。
〇ヘルペス抗体検査;医学的意義がなく当院では施行していません。性器ヘルペスになったかどうかを調べたいとのことで検査希望の方がおられますが、ヘルペスは性器だけでなく口唇にも感染しますので性器に感染したかどうかは抗体検査ではわかりません。そもそも陽性がでたからといってもヘルペスの症状が出ない限り治療の方法がありませんので、当院では施行していません。ヘルペスは症状が出現した際の病変の抗原検査で診断が可能です。
〇男性のHPVウイルス検査;医学的意義がなく当院では施行していません。尖圭コンジローマになったかどうかを調べたいとのことで検査希望の方がおられますが、男性のHPVウイルス検査は医学的根拠がありません。コンジローマも症状が出現して初めて治療ができる疾患です。
さて、各々の性生活と合わせて下記に推奨の検査を示します。予算もありますので、あくまで参考と捉えていただき、予算に合わせてご判断ください。また、当院を受診されますと診察時に詳しく説明させていただきますのでお気軽にご相談ください。
*マイコプラズマ・ジェニタリウム感染症は保険適用にもなった疾患で増加傾向です。新しい検査で少し価格が高いですが、コンドームなし膣性交や性風俗での素股行為をされた場合は検査をお勧めします。オーラルセックスのみの場合は感染率は低いとされていますので、オーラルセックスのみの場合は省略可能かと考えます。
〇パートナーとの性行為のみ(コンドームなし膣性交;なし)
男性;淋菌、クラミジア尿検査(+咽頭うがい液:女性へのオーラルセックスありの場合)
女性;淋菌、クラミジア子宮頚管擦過+咽頭うがい液検査
〇パートナーとの性行為のみ(コンドームなし膣性交;あり)
男性;淋菌、クラミジア、マイコプラズマ尿検査(+淋菌、クラミジア咽頭うがい液:女性へのオーラルセックスありの場合)
女性;淋菌、クラミジア、マイコプラズマ子宮頚管擦過+淋菌、クラミジア咽頭うがい液検査
〇性風俗の利用やアプリ等での性行為【男性】(コンドームなし膣性交、素股行為;なし)
簡易性病セットA or スタンダード性病セットA
女性へのオーラルセックスありの場合:簡易性病セットB or スタンダード性病セットB
〇性風俗の利用やアプリ等での性行為【男性】(コンドームなし膣性交、素股行為;あり)
簡易性病セットC or スタンダード性病セットC or オール性病セットA
女性へのオーラルセックスありの場合:簡易性病セットD or スタンダード性病セットD or オール性病セットB
〇ブライダルチェック
男性:スタンダード性病セットC or D or オール性病セットA or B or C
女性:スタンダード性病セットD or オール性病セットB or C
〇性風俗従事者(女性)
スタンダード性病セットB or D or オール性病セットB or C
〇MSM(男性間性交渉者)
オーラルセックスあり スタンダード性病セットB or D or オール性病セットB
オーラスセックスなし スタンダード性病セットA or C or オール性病セットA
〇すべてのチェックをして安心したい
オール性病セットC
ネットによくある郵送性病検査キットは信用できますか?
よく聞かれる質問ですが、はっきり言ってわかりません。ただ現在、性病の郵送検査に関しては、国の規制はほぼありません。日本性感染症学会では郵送検査における検査精度管理について法整備を含めて進めていく方針ですが、現状ではまだ進んでおらず今後の大きな課題です。ネット、SNSの普及により郵送検査キットを販売する業者は急増しており、その検査方法や検査場所、検査精度に関しては個々の業者に任せられています。本来は保険診療と同一の検査精度を担保でき、国が認めた登録試験所で検査すべきですが、すべての業者がそのような検査場所で行っているとは限りません。保険診療と同一の検査方法で行っていては提供できないような安価な値段で検査を提供している業者があるのも事実のようです。
郵送検査自体は患者さんのメリットが多い検査であることは間違いなく、今後法整備が進んでいき検査精度が担保できることを期待しています。
現状でいえることは、性感染症を疑う症状がある場合は、このような郵送検査キットによる自己判断は避けるべきと考えます。クラミジア(特に男性)や梅毒初期では感染していても検査で陰性になることも珍しくありません。特に男性では尿道炎(尿道に感染する性感染症)の原因菌は淋菌、クラミジアだけではありません。マイコプラズマ感染の増加や女性の咽頭に常在しているインフルエンザ菌による尿道炎など検査できない性感染症もたくさんあります。性感染症を疑う症状がある場合は、必ず保険診療が可能な専門医療機関を受診し抗菌薬等による適切な治療を行ってください。
性感染症全般の治療の流れについてはこちら↓をご参照ください。
→STD(性病)のお悩みページ~性感染症学会認定医が解説します
文責 みうら泌尿器科クリニック院長
三浦徹也(日本泌尿器科学会専門医、性感染症学会認定医)