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性器ヘルペスについて

単純ヘルペスウイルスによる性感染症です。単純ヘルペスウイルスは1型(HSV-1)と2型(HSV-2)があり、HSV-1は口唇に感染し口唇ヘルペスの原因となるウイルスで、性器にも感染します。HSV-2は性器にのみ感染するウイルスです。性行為により感染し、HSV-1はオーラルセックスでも感染します。初感染例はHSV-1によるものが、約70%とされています。

ヘルペスウイルスは性器に症状があるときにだけ感染するわけではなく、無症状でも膣分泌中にウイルスが排出されていることが分かっており、無症状の感染者との性行為でも感染し、このことが性器ヘルペスの蔓延につながっています。

性器ヘルペスは再発する!! 

健常者において性器ヘルペスは治療を行わない場合でも2~3週で症状は消えます。ただ一度感染したヘルペスウイルスを完全に排除することは難しく、知覚神経節という場所に潜伏しています。性行為や疲労などで免疫力が低下した時などに神経を伝って下行し、皮膚や性器の粘膜に再び病変を形成します。ひどい人では年に10回以上、この再発を繰り返すことがあります。再発の頻度はHSV-2感染例の方が、HSV-1感染例よりはるかに多いといわれています。男女共にはじめて感染した時よりは症状が軽いことが多く、また再発を抑える治療が可能になっています。比較的に見た目で分かりやすい疾患ですが、その他性感染症(STD)にも似た症状がありますので、自己判断は危険です。

症状

性器ヘルペスは初感染時と再発時で症状が違い、再発時は症状が軽いことが多いです。

初感染

初感染は①初感染で症状初発②非初感染で症状初発の2パターンがあります。②は初感染時は症状がほとんど出ずに潜伏していたウイルスが何らかの誘因で再活性化し、初めて症状がでる場合です。一般的に①の方が激しい症状を伴うことが多いです。

感染してから症状が出るまでの期間 : 2-10日間

 

男性

まずペニスにかゆみや違和感を伴った数mmの複数の水ぶくれがでて、2-3日後に水ぶくれが破れて、強い痛みを伴う潰瘍になります。大体1週間くらいで最も重症化します。その間、発熱をしたり、足の付け根のリンパ節がはれたり、排尿時に痛みを伴うこともあります。アナルセックスによる感染では、肛門周囲や直腸粘膜に病変がでることもあります。

女性

症状は男性よりも強いことが多い。

外陰部に水ぶくれや潰瘍ができ、激烈な痛みを伴い、ひどい場合は子宮や膀胱にまで及びます。高熱や足の付け根のリンパ節が押すと痛むほどにはれたりすることが多いです。症状が強い場合は、痛みにより歩行や排尿が困難になる場合もあります。

再発

性行為や疲労、風邪などで免疫が低下したときに再発しますが、症状は、男女共にはじめて感染した時より軽いことが多いです。多くは1週間以内に自然治癒しますが、再発を繰り返せば、心身ともにストレスとなり生活の質が低下しますので、再発に対する治療も保険適応となっています。

診断

・専門医による性器の視診

・病変の分泌液に対する迅速診断キット(インフルエンザの検査と同じようなもので、約15分で結果がわかります

 

治療~初感染時の治療が大事!! 

初感染

初感染時に早期に診断し、十分量の抗ヘルペス薬を投与することで潜伏するウイルスの量を減らし、再発の回数も減らすことができるといわれています。

ですから初感染時の早期治療、十分な薬の投与が非常に大事です!!

当クリニックでは、パラシクロビル 1回500mg 1日2回を、十分量の薬の投与によりウイルス量を減らすことを目的に、10日間の内服をお勧めしています。

再発例

①再発時内服

再発例は症状が軽く1週間以内に自然治癒することが多くいため、再発してすぐに治療を開始することが重要です。遅れて治療を開始すると自然治癒による治癒期間とほぼ変わらず治療の意味がなくなります。

つまり、「再発してからクリニックを受診して薬をもらう」というようなことをしていれば治療が遅くなり意味がありません。ですので、年に3回以上再発し、再発の症状をご自分で判断できるような患者さんには、あらかじめクリニックで薬を処方しておき、再発の時に速やかに自分で内服を開始する治療を保険診療で行えるようになりました。

具体的にはファムシクロビル2000mg(8錠)をあらかじめ処方しておき、再発時速やかに1000mg(4錠)を内服し、その12時間後にさらに1000mg(4錠)を内服します。この治療により治癒期間を短縮することができます。

②再発抑制療法

再発自体をさせないための治療法です。おおむね年に6回以上再発を繰り返す患者さんが対象になります。

パラシクロビル 500mg(1錠)を毎日継続して内服し、1か月おきにクリニックを受診し再発の状態を確認し、継続するか中止するか薬を増量するかを決定する治療法です。

この治療をすることにより、セックスパートナーへの感染を低下させることができます。

 

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→STD(性病)のお悩みページ~性感染症学会認定医が解説します

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